内部統制評価時のサンプリング調査についての考察

内部統制の評価に関して、日常的に発生する業務であれば、90%の信頼水準を得るためには少なくとも25件のサンプリング調査が必要とされているが、これについて考察をしてみる。 いろんな解説を見たがわかりにくいのが多い。

サンプリング調査の結果、不備が発見されるか否か(0か1)という面でみると、サンプリング調査の結果は二項分布といえる。二項分布の確率関数を使ってもよいが、ここでは不備の発生する確率が十分に小さいと仮定し、二項分布はポアソン分布で近似できることを応用して、ポアソン分布を使用する。

最大逸脱率を9.9%(<10%)としすると、25件のサンプルをとる場合、エラーが最大で約2.5個含まれていても不備とは考えなくてもよいことになる。(25*0.099)

それから25件のサンプルを実際に調査して、その中にエラーが見つからなかった(0件のエラーがあった)場合、ポアソン分布に沿っていると考えて、サンプル数25件のうち、エラーが0件発生する確率は、0.08となる。信頼水準(実際の逸脱率が許容逸脱率を超えない可能性)は1-0.08=0.92となる。(ここがむずい)

ちなみに、25件中1件のエラーがあった場合、信頼水準は、0.71となる。

ここで、問題となる仮定がひとつある。最大逸脱率を9.9%としてしまっている点だ。つまり、「エラーが10%以下であれば、問題とは認めないよ」ってことである。この根拠は以下のブログのコメントにも述べられているが、明確に決まってはいないようだ。内部統制運用の慣用といったところであろうか。

「10%未満の誤謬率なら、内部統制における軽微な過誤として不備の根拠にしない」ことは、アメリカ監査実務で行われている一種の決めごとです。
これを根拠付ける公的基準は存在しません。おそらく、今後もできないと思われます。
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2007/03/post_2a64_1.html

ちなみに、以下のブログにあるように最大逸脱率を9%と仮定すると、25件サンプル中0件のエラーがあったとしたら、信頼水準は約0.895となり、わずかに90%に達しない。0.9%の差に注意が必要である。ちなみに、二項分布関数を利用すると、同じケースでも信頼水準は90%を超える。
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/security/2006/11/_2_eb71.html

あと、気になるところでいうと、1件エラーがあった際に、何件までサンプル数を増やせば信頼水準を90%まで持っていけるかという点について、2種類の情報があった。

・40件までとしている情報
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/security/2006/03/post_daea.html

・42件までとしている情報
http://www.zeem.jp/present/account/k_200802.html

僕の試算によると、ポアソン分布、二項分布、どちらを使用しても最大逸脱率9%のときに40件中1件のエラーが発見された場合、信頼水準は90%に1%以上届かない。したがって、正確性を期すのであれば、後者を採択すべきであろう。

 ↓この本は初心者にもわかりやすいように解説が細かいです。

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