千代田区長選挙

 
落選した下田さんの選挙カーを近所で二回見かけた。
「絶対不正はしない、誠実なんです」
と必死で手を振ってくれたんだけど、
 
 
その二回ともテールランプが片方切れてた。
 
一回だけならたまたまってこともあるだろうけど、一週間あのままだったらひどいな。公報を見て、政策で下田さんの方に投票しようと思っていたんだけどなあ・・・

 
思い出すのは、7~8年前千葉県市川市に住んでいたときの参議院か衆議院選挙だ。
毎日行徳駅から通勤していた僕は、その駅前である一人の男性候補者が声をかけてくることに興味を持った。
 
「おはようございます、よろしくお願いします。」
 
特に政策を訴えかけるでもない。支援者が隣に立っているわけでもない。40過ぎぐらいの風貌で、やや身長は低めだろうか。いかにもまじめそうな人だ。こぎれいなスーツに身を包み、ただ一人で自分の名前を書いたたすきをかけて通り過ぎる通勤者に声をかける。この光景をどのくらいだろう、2週間ぐらい見ただろうか。毎日である。当然雨の日もあった。彼はやはり一人で傘を差して声をかけてきた。
 
「おはようございます、いってらっしゃい」
 
こういう選挙戦では必ず奥さんとか、家族が応援していてもよさそうだが、その姿も見かけない。他の候補者は、選挙カーを使い、マイクで呼びかけている。また、ある候補者は、のぼりを持って会社帰りのサラリーマンに政策を訴えている。もちろん一人でいるんじゃなくて、おそろいのウィンドブレーカーを着た支援者たちを引き連れていた。
 
そして選挙の日になった。僕はその孤独な候補者が気になって仕方なかった。それで、その人に投票したんだ。
 
 
僕は、その晩開票結果を見なかった。いや、もしかしたら見なかったんじゃなくて、ただ単にまだ結果が出ていなかっただけかもしれない。とにかく、次の朝は選挙の結果を知らなかったんだ。僕はいつものとおり小走りで行徳駅へと向かった。
 
彼がいた。
 
いつもの場所に。ただこれまでと違って、今回はたすきがない。
 
「ありがとうございました」
 
と駅へ向かうスーツたちに声をかけている。
 
ああ、そうか、当選したんだな、僕はそう思った。うれしかった。正直、おめでとうと声をかけてあげたかった。
 
 
会社へ着いた。選挙結果をネットで確認した。彼の名は当選者の中になかった。そのときは立候補者がかなり多かったんだけど、落選者の中でも下から数えたほうが早いぐらいの順位だった。音がなくなり、体が固まった。
 
政策や誠実さだけでは勝つことができない一大ショーの裏のドラマ。

 
今になって思うと、僕は彼の中に自分自身を見ていたような気がする。彼は今も孤独に戦っているだろうか?それとも支援者は増えただろうか?彼が選挙に出たら今でも僕は彼に投票するだろう。彼に投票したいという思いが変わらなければ、僕自身でいられるような気がする。今はそれでいいと思っている。変わる必要はない。自然に生きよう。
 

Post a comment or leave a trackback: Trackback URL.

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out / Change )

Connecting to %s

%d bloggers like this: